まさかの御懐妊!天災は忘れた頃にやって来た。じゃぁないけど、それは、結婚5年目になろうとしている、ある日突然やって来た。そのころの私は、職場の上司がイヤでイヤでたまらず、ストレス発散の為、旦那様に許可を頂いて毎晩のように飲んでいた。 すると朝、朝食を食べるときにチョットむかつく様になった。「二日酔いかな?」 そんな日が続いたある日の仕事中、ある事を思いつく。「そうだ生理も遅れてる?」。 もう、そう思うと落ち着かなかった。それに、今までとは違う、確信めいたモノがあった。「私のお腹に中に赤ちゃんがいる」 私も主人も30歳を過ぎてからの結婚。 最初は、一日でも早く子供が欲しいと思い、それなりの努力をした。 3年を過ぎると、諦め気分になっていた。 それでも奈良のお寺へお願いに旅行へ出かけた。そしたら、本殿は改装中で仮のお宮でお参りという事になった。「そんなモンだよ」吹っ切れたような気がした。 不妊治療で大金を使い、神経をすり減らすより、2人で自分たちが楽しく生活できればいいと話し合った。 旅行資金の足しになればとパートへ出ていた。 仕事帰りに妊娠検査役を購入。家についてすぐに試してみる。結果が出るのと一緒に、電話帳で最寄りの産婦人科の電話番号を調べ、診療時間を尋ねる。 シャワーを浴び、1枚しかないスカートをはいた。 そして1時間後、産婦人科の待合室にいた。初めての産婦人科。周りの人もみんな妊婦さんなんだろうか?私は妊婦かもしれない。これから、時々、この産婦人科へ通い。あそこの新生児室に私の赤ちゃんが並ぶ日が来るかもしれない。 それとも、何かの間違いだろうか?仮に妊娠していても、無事に赤ちゃんが生まれるだろうか?そんな事を頭の中でぐるぐる考えていた。 内診を終え、別室に戻る。 穏和そうなオジイチャン先生が顔色一つ変えずに話し出した。 「妊娠反応が出ていますが、心拍が確認できません。血圧も高いですね。それから、子宮にポリープの様な物が見られます。こちらでは対応できないので、もっと大きな病院を紹介します。」 エッェ!普通、笑顔で「おめでとうございます。お目出度ですよ。」とか言ってくれるんじゃないの?心拍が確認できないって、ナニ? もう不安しか湧き上がって来ない。 家に帰り、帰宅していた主人に話す。2人とも手放しで妊娠を喜ぶことは出来なかった。 次の週、家から3駅ほど離れた病院。 「妊娠しています。心拍はまだ確認できません。子宮に筋腫があります。それでも妊娠を継続しますか?」 躊躇いはない「ハイ」と答える。何かお腹の中で赤ちゃんが育っているなら、どんな事をしても産みたい! 病院から主人に報告する。 自分の母親へも初めて孫が出来るかもしれないことを知らせる。 これからどうなるんだろうと言う不安も大きかったが、それでもやっぱり、お腹の中に赤ちゃんがいるという喜びの方がずっと大きかった。 お腹に向かって話しかけた。「ここに来てくれてアリガトウ。」 |